あなたはマラソンのためにトレーニングしていますか?ジムに通っている方、ウエイトリフティングを始めている方などもいると思います。どんなトレーニングをしていても、運動後に体の痛みを感じたり、もしかしたら怪我をしたりしたことがあるかもしれません。今回は、シドニー在住の理学療法士、Dane Ford(デーン・フォードさん)に体の回復のための秘訣を教えてもらいました。
運動後の回復力を向上させ怪我のリスクを減らすためには、一般的な方法が頭に浮かぶかもしれません。回復とパフォーマンスの方法についてよく聞く一般的な方法は、よく食べること、十分な水分補給・水風呂の活用・マッサージ・ストレッチ・サポーターの着用などと、時折酸素カプセルの使用も含まれています。
しかし、あなたが考えたこともないような、もう一つの重要な(極端ではない)方法があります。睡眠の質、量、タイミングを最適化することです。運動からの回復に大きな影響を与え、怪我のリスクを減らすことができます。
睡眠の質が悪いと身体的、精神的パフォーマンスに影響を与えることが提唱されています。これには以下が含まれます。
ホルモンレベルの変化(筋肉を作るヒト成長ホルモンの減少、ストレスホルモンや筋肉を減少させるコルチゾールの増加など)
運動による微小外傷から生じる筋肉の回復・修復を妨げる炎症誘発性マーカーの増加
気分が悪くなる、精神的なストレスの増加
免疫機能の低下
青年期のスポーツ選手を対象としたある特定の研究では、睡眠時間が毎晩8時間未満の人は、毎晩8時間以上睡眠をとった人に比べて1.7倍もケガをする可能性が高いという結果が出ています。
しかし、毎晩どれだけ長く寝ているかだけが重要な要素ではありません。睡眠の質とタイミングも重要な要素です。例えば、就寝時間のタイミングは概日リズムに影響します。
ここでは睡眠の質を向上し体を回復させ、怪我のリスクを減らすのに役立つ方法をご紹介します。
規則正しい睡眠スケジュールを立てる(毎日同じ時間に就寝・起床し、1日8時間の睡眠時間を目指す)
寝る前にカフェインやアルコールを控える
寝る前にブルーライトを浴びすぎない(液晶画面から発せられるブルーライトは、メラトニンの分泌を遅らせ、私たちの体の概日リズムを乱してしまう)
寝室の温度を快適に保つ。
次に激しい運動からの回復を考えるときは、高額な酸素カプセルに頼るのではなく、少し時間を取って代わりにベッドに飛び込んでください。
Dane Ford は、シドニーのサザランド・シャイアでリフト・フィジオを始め、理学療法士の資格を持っています。デーンは様々なスポーツ・フィジオセラピー・クリニックで働き、地元のスポーツレベルからエリート・アスリートまで、あらゆる種類の怪我の治療を行ってきました。彼は人々を怪我から最高のパフォーマンスを発揮できるようにすることに情熱を注いでいます。
参照
Milewski MD, Skaggs DL, Bishop GA, Pace JL, Ibrahim DA, Wren TA, Barzdukas A. Chronic lack of sleep is associated with increased sports injuries in adolescent athletes. J Pediatr Orthop. 2014 Mar;34(2):129-33. doi: 10.1097/BPO.0000000000000151. PMID: 25028798.
Charest J, Grandner MA. Sleep and Athletic Performance: Impacts on Physical Performance, Mental Performance, Injury Risk and Recovery, and Mental Health. Sleep Med Clin. 2020 Mar;15(1):41-57. doi: 10.1016/j.jsmc.2019.11.005. PMID: 32005349.
Fullagar, H. H. K., Duffield, R., Skorski, S., Coutts, A. J., Julian, R., & Meyer, T. (2015). Sleep and Recovery in Team Sport: Current Sleep-Related Issues Facing Professional Team-Sport Athletes. International Journal of Sports Physiology & Performance, 10(8), 950–957.