鍼灸と聞いて思い浮かぶのは、全身に針を刺すことだと思います。怖そうに聞こえますか?実は、そんなことはありません!
伝統的な東洋医学の一つとして始まったこの治療法は、今では様々な病気や慢性的な痛み、さらには睡眠障害にも効果があるとされ、人気の高い代替医療となっています。
本当に効果があるのでしょうか?鍼灸治療で睡眠の質を向上させる方法をご紹介します。
鍼灸の原理
中国の哲学では、「気」の概念を踏襲しています。「気」は直訳すると空気のことで、身体の生命力やエネルギーの流れを意味します。
理想的な世界では、人の気は体のすべての部分でバランスのとれた流れを持っており、エネルギーの障害や間違った流れがあれば、結果として病気や痛みになります。
鍼を刺したりツボに圧をかけたりすることで、気の流れを正常に戻し、より自由に動けるようにします。
本当に効果はあるのか?
鍼灸は現代医学や西洋医学の分野ではありませんが、代替医療の一つとして広く受け入れられています。
現代の研究では、鍼灸治療を行うことで、身体の神経系や免疫系に良い影響を与えることが分かっています。
ランダム化比較試験や臨床試験のシステマティックレビューでは様々な結果が出ていることが多いのですが、それでもほとんどの研究で鍼灸は科学的に有効であるとされています。
医療従事者の中には、鍼灸の効果をプラシーボとしてすぐに否定する人もいます。しかし、(きちんとした鍼灸師のもとで治療を受ければ)治療を受けても害はないというのが一般的な意見です。
鍼灸と睡眠
針で突かれて睡眠が改善されるというのは、かなり突飛な感じがします。しかし、鍼灸治療が睡眠の質の向上に効果的であるという研究結果があります
鍼灸治療は、メラトニンの分泌を促すことで睡眠サイクルを楽にし、より深い休息へと導いてくれます。
鍼灸治療が睡眠を誘発するもう一つの方法は、気分や睡眠を調整するホルモンである脳内のセロトニンの生成を増やすことだと考えられています。
また、人によっては睡眠障害の原因となるストレスや不安を、鍼灸治療が解消できると考えられています。
睡眠時無呼吸症候群、不眠症などの症状でお悩みの方は、鍼灸治療を受けてみてはいかがでしょうか。
睡眠障害
鍼灸で対応できるとされる睡眠障害の中で、最も一般的なものの一つが慢性的な不眠症です。
鍼灸治療は、ベンゾジアゼピン系などの睡眠薬を服用するのに比べてはるかに自然であり、他の選択肢を検討する前の不眠症治療の第一歩となり得ます。
鍼灸の種類
鍼治療というと、まず針が思い浮かびますが、実は鍼を刺さない鍼灸治療もいくつかあります。
耳鍼治療
通常の鍼灸治療では、身体に鍼を刺すのが一般的です。一方、耳鍼治療は、耳に鍼を刺すことを取り入れたものです。
耳鍼治療は単独で行うこともできますし、体の鍼と一緒に行うことでより良い効果が得られます。耳のツボに焦点を当てながらも、より低侵襲な方法として一般的に使用されています。
指圧
伝統的な鍼治療の代わりに、より手軽なものとして指圧があります。鍼を使わず、特定の場所をマッサージしたり、ツボを深く押したりすることに重点を置いています。
ツボをマッサージすることで、鍼灸と同じ効果が得られると考えられていますが、どこでも自分でできるという利便性もあります。
指圧マットを購入すれば、自宅にいながら健康を促進することができます。
電気鍼療法
電気鍼治療は、まさにその名の通りです。体に突き刺す鍼に電流を流す鍼治療の一種です。
電気鍼というと、ちょっと怖い感じがしますが、使用感は普通の鍼と変わりません。少しチクッとするかもしれませんが、それでも痛みや害があるほどではありません。
電流を流すことで、エネルギーの流れをより刺激することができるため、針だけを使うよりも効果的だと考えられています。
お灸
お灸は、通常の鍼治療と同じように行われますが、鍼の上に薬草やハーブを乗せるという違いがあります。
植物を乾燥させたものを針の上に加え、結果的に火をつけることで、鍼の効果をさらに高めることができます。
お灸による温熱療法は、心地よい温かさを与えるとともに体内のリラックスしたエネルギーの流れをさらに良くすると考えられています。
副作用は?
鍼灸治療では、副作用はないはずです。実際、鍼灸治療はリスクの低い補完医療として広く知られています。最初のセッションの後、皮膚の炎症やあざ、わずかな出血などが起こるかもしれませんが、これらは正常な反応です。
鍼灸患者の中には、はじめての施術後めまいやふらつきを感じる人もいます。これらの効果は、体が鍼に慣れれば、通常はなくなります。
どうすればいいか?
寝つきの悪さを解消するために、鍼灸治療を受けるべきでしょうか?やってみて損はないでしょう。比較的安全な施術で、リスクはほとんどなく、効果が期待できるかもしれません。
体に数本の針が刺さるのが怖いという人には向かないかもしれません。そういった方適切な睡眠衛生を実践する方が、睡眠と健康の改善に役立つでしょう。